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犬の椎間板ヘルニア(ヘミラミ)

 

この記事のポイント


  • 治る可能性をあげるには、早く治療すること
  • 低グレードでも、急に悪化することも
  • 再生医療(幹細胞療法)も効果が高い

椎間板ヘルニアと診断されたら

椎間板ヘルニアは、症状の重症度によって「グレード1~5」に分類されます。グレードは臨床症状(診察で獣医が診てとれる状態)から分類されます。低いグレードだからといって必ずしも手術しなくてよい、というものではありません。MRIや脊髄造影によって、変形した椎間板の部位や方向、脊髄圧迫の程度を画像診断できます。画像診断と臨床症状を併せて、獣医師は手術すべきかどうか診断します。

獣医が手術すべきと診断した場合、出来る限り早く手術を検討してください。特に症状が重い、臨床症状がグレード5(深部痛覚消失)の場合、手術が遅れると回復の見込みが限りなく低くなります。また脊髄軟化症を発症した場合には、現在の医療では救う手立てがなくなってしまいます。

低グレードの場合でも症状が進行し、グレード1から突然グレード5にまで発展してしまう症例は少なくありません。グレードが低くても、軽くてよかった!と安心せずに、積極的な治療を検討されてください。

椎間板ヘルニアの治療

主に外科手術と内科的治療に分けられます。人の手によるものなのか、犬の持つ自然治癒力によるものなのかの違いだけで、基本的には脊髄を圧迫している変形した椎間板の部位を取り除く、ということには変わりありません。しかし自然治癒力(マクロファージの貪食)に治療・回復を頼るには、かなり時間を要することになります。椎間板にこれ以上の負担を与えないようにケージ内で安静にすること、コルセットやギプスで固定をすること、生活に支障やストレスのないように痛み止めを投与すること、軟骨の機能の回復や維持のための内服薬を投与することも必須です。

グレードが高い、臨床症状が重い、圧迫の程度が大きいなどの場合には、自然治癒力に頼っているうちに使わない筋肉や骨・神経が衰弱してしまったり、排泄ができないことで毒素が体内に溜まってしまうなど、悠長に待っていると弊害が大きい場合があります。この場合には手術が適応です。特にグレード5の場合、深部痛覚が消失してから48時間以内に手術しなければ、術後の回復が難しくなる、と言われています。

また、グレード5の症例中10%の確率で「進行性脊髄軟化症」を発症することが知られています。進行性脊髄軟化症になってしまった場合、脊髄の機能が徐々に失われ、最終的には呼吸中枢にまで達し、1週間後には死亡してしまう恐ろしい病気です。発症してしまうと有効な治療法がないと言われていますが、早急に手術を行えば進行を阻止できる、という報告もなされています。

椎間板ヘルニアの経過と予後

外科・内科いずれにしても、自由に歩き回れるような回復をみるには、十分なリハビリと休養(ケージレスト)が欠かせません。椎間板ヘルニアの治療で十分に回復できるかどうか左右するのはリハビリであると言ってもいいほど重要です。効果的で、安全なリハビリを当院にて丁寧にご説明いたします。

外科治療・内科治療と併せて再生医療(幹細胞療法)も行うと、より回復する可能性が高まります。椎間板ヘルニアの手術と一緒に脂肪細胞を採取し、そこから脂肪幹細胞を培養して体内に戻すと、幹細胞が損傷した神経や筋肉となり、回復する可能性が高まり、また早く回復することが期待できます。

下記のリンクは、手術をせずに再生医療をした、頸椎の椎間板ヘルニアの症例です。
 ユニベッツ福岡での脂肪幹細胞療法(ADSC療法)についてくわしく

犬の椎間板ヘルニアとは?

「椎間板」とは、「脊椎(背骨)」の間にある軟骨で、脊椎同士の緩衝(クッション)材の役割を果たします。
犬の脊椎は頭から順に、頸椎(首の背骨)が7つ、胸椎が13、腰椎が7つ、仙椎が3つ、それと尾椎から構成されています。尾椎の数はしっぽの長さによって異なります。脊椎の真ん中には「脊髄」という、とても重要な中枢神経(神経の中心部分)が通っています。ここから末梢神経が全身に分岐して、運動の指令を出したり、感覚を受け取ったりしています。

  脊椎(せきつい):骨。背骨を構成する。椎骨(ついこつ)とも呼ぶ
  脊髄(せきずい):神経。中枢神経という太い神経。脊椎の中を、頭から尾まで通っている

  頸椎(けいつい):首の脊椎。
  胸椎(きょうつい):胸の位置にある脊椎。肋骨(あばら)がついている。
  腰椎(ようつい):腰の位置にある脊椎。
  仙椎(せんつい):腰椎のあとにある脊椎。仙椎同士はくっついて、椎間板はない。
  尾椎(びつい):尾の椎骨。尾の長さによって数が異なる。

  椎間板(ついかんばん):椎骨の間にある軟骨。クッション材。

歩いたり走ったり、跳びはねたり、体をひねったりする時に生まれる衝撃を、椎間板が吸収し、脊椎や脊髄にダメージが加わらないように守っています。
しかし、とても強い衝撃が加わった時や加齢によって椎間板が変形(ヘルニア)し、変形した椎間板が脊髄を圧迫することがあります。圧迫の程度によって強い痛みを感じたり、重度であれば神経の機能が阻害され感覚が消失してしまったり、運動や排泄ができなくなることがあります。
この、椎間板が変形して起こる神経障害のことを「椎間板ヘルニア」と呼びます。

椎間板ヘルニアの症状には次のようなものがあります。

  • 階段の上り下りや、段差をあがらなくなった
  • 抱きかかえるとキャンと鳴いて痛がる
  • 散歩を嫌がる、部屋の隅にうずくまる
  • 足が萎えて動かせなくなった、麻痺している
  • 後ろ足を動かせず、前足でひきずるように歩く
  • 排便や排尿ができなくなった、垂れ流している

このような症状が見られる場合には、椎間板ヘルニアが疑われます。

椎間板ヘルニアの検査

上記のような症状があり、椎間板ヘルニアだと診断を下すには、検査をする必要があります。

神経学的検査 リスク(低)

触診や姿勢反応検査等で症状の有無や発症箇所の推測をします。診察室で行う、あまり痛みを伴わない方法です。

レントゲン検査、CT リスク(低)

レントゲン写真を撮影し、骨に異常がないか画像診断します。
麻酔は必要なく、獣医やスタッフが犬を持って撮影します。椎間板や脊髄はレントゲンには写らないため、椎間板ヘルニアかどうか、また発症箇所を特定するには、脊髄造影かMRI検査が必要です。

脊髄造影 リスク(中)

背中から脊椎に、レントゲンに写る造影剤という薬剤を注入し、脊髄の画像を見る方法です。圧迫箇所を特定できます。全身麻酔が必要です。稀に副作用が見られます。

MRI検査 リスク(低)

磁気を利用して脳や脊髄の断面図を画像診断します。脊髄の状態や、どの箇所で脊髄を圧迫しているかを見ることが出来ます。全身麻酔が必要です。なお、ユニベッツにはMRIはありませんので、近隣の病院に検査を依頼することになります。

椎間板ヘルニアの症状の重症度によって下記のようなグレードに分けられます。

  • グレード1 痛みのみ
  • グレード2 軽い麻痺がある、歩行可能
  • グレード3 歩けない、完全か不完全な麻痺
  • グレード4 歩けない、自力排尿できない、完全麻痺
  • グレード5 歩けない、自力排尿不可、完全麻痺、深部痛覚消失

グレード5の場合、深部痛覚消失から時間経過するほど手術後に回復する確率が下がっていきます。できるだけ早急(48時間以内)に手術する必要があります。

椎間板ヘルニアの治療方法

椎間板ヘルニアの治療方法は、主に外科的方法と内科的方法に分けられます。

外科的方法 リスク(中) 完治率(中~高) 治療期間(中~長)

全身麻酔下で、発症箇所の脊椎を削り、脊髄を圧迫している椎間板を取り除く方法です。術後、神経や筋肉の回復のためにリハビリを行います。発症してから手術に至るまでの期間、症状の程度、術後のリハビリに効果、等によって回復の程度に影響が出ます。

内科的方法 リスク(低) 完治率(低) 治療期間(中~長)

グレードが低く、症状が生活にも大きく支障がない場合、痛み止めやギプス固定と、ケージレスト(運動制限)で回復をはかります。
ハンセンI型の場合、運動をさせた場合悪化することがありますが、安静に維持することではみ出した髄核を白血球が異物と判断し、除去してくれます。
手術のリスクはありませんが、短期間での劇的な回復は望めません。

再生医療(脂肪幹細胞療法) リスク(低) 完治率(中) 治療期間(中)

他の細胞に分化する「幹細胞」を用いて、損傷部位の回復を図るのが再生医療です。
分類としては内科的治療に含まれます。外科手術後に併用するもの効果が高いでしょう。

全身もしくは局所麻酔下でパチンコ玉大の脂肪細胞を採取し、そこに含まれる脂肪幹細胞を分離して培養、増えた幹細胞を点滴で投与します。神経や筋肉などの損傷部位に幹細胞が集まり、機能回復を早める、といった治療方法です。外科治療・内科治療同様に、ケージレストとリハビリが回復の鍵となります。

 ユニベッツ福岡での脂肪幹細胞療法(ADSC療法)についてくわしく

経皮的レーザー椎間板減圧術(PLDD) リスク(中) 完治率(中) 治療期間(中)

外科的治療と内科的治療の中間として、半導体レーザーを用いた治療方法です。レーザーファイバーを背中から刺し、ヘルニアを起こしている髄核を蒸散させ、脊髄の圧迫を解消する方法です。PLDDについてはユニベッツではこれまで症例がありませんが、ご興味のある方はお問い合わせください。

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